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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)1205号 判決 1948年12月16日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人衛藤顕、同高野弦雄、同中井宗夫上告趣意第三點について。

しかし、犯罪の日時は、法律上別段の定め(例えば日出前又は夜間においてというごとき)のない限り、主として犯行の同一性を特定する事項たるに止り、罪となるべき事実に該當しないものであるから、判決書にこれを表示するには犯行の同一性を特定するに足る程度を以て足り、必ずしも數学的の正確を要するものではなく、また、必ずしも常にその證據を判決書中に擧示せねばならぬものでもない。從って判決書に表示された犯行の日時に多少の正確を欠き若しくはその擧示された證據に多少の不備があっても、判決を破棄するに足る欠點とすることはできない。それ故假りに原判決が所論のごとく午前二時頃の犯行を午前三時頃なりと判示し、また、その引用の證據中他の證據と對比すれば、九月と記載すべきを八月と誤記したと認めらるべき證據を誤記と説明せずに漫然これを引用したとしても、これらの欠點は原判決に影響を及ぼさないこと明白であるから、所論は上告理由として採用することできないものといわねばならぬ。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑訴第四四六條に則り主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎)

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